太陽光2019年問題
社長の小池です。
連休が過ぎて、半袖に着替えようかと思ったら逆にダウンジャケットが恋しくなりました。
寒暖差が大きく体調を崩しそうですが、皆さん如何お過ごしでしょうか?
今日午前中に上棟式が有ったのですが、お施主様の親御さんが出席なさっておられたのですが、
最近の天候から思わず
「昔は、特に我々の年代は、寒さ暑さは根性で乗り切ると言ってましたが、
健康面から見ると、断熱性能の良い住宅で温度差を感じにくくして、
体に負担をかけないのが一番健康に良い家です。
この家は断熱性能も良く、床暖房も付いているので、健康優良住宅です!」
と、自慢話のような上棟式の挨拶をしてしまいました!(笑)
所で、皆さんは「太陽光2019年問題」って、ご存知ですか?
政府は、2009年家庭の太陽光パネルでつくった電気の余剰分を10年間にわたり一定価格で買取る制度を始めました。
東日本大震災を経て拡張されたこの制度は「固定価格買い取り制度(FIT)」と呼ばれます。
家庭に設置された太陽光が作る電気ですが、家庭の電力消費量は昼少なく夜に増えます。
ただ、太陽光は昼間しか発電しないので、余った電気を電力会社に買い取ることを義務付けたのがこの制度です。
東日本大震災によって原子力による発電が止まり電力受給が不安定になる中、
原子力に代わる代替エネルギーとして再生可能エネルギーの導入を進めようとした政府は、
1kw時あたり48円という破格の買い取り価格を設定しました。
この制度は、一般的に10年前後で設置費用の元が取れる水準で、
計200万世帯がパネルを設置して、
再生エネルギーの占める比率は、震災前の10%から2016年には15%に上昇し成果は上がっています。
2009年以降太陽光の設置件数が伸びる中、太陽光の設置価格が下がったこともあり、
買い取り価格も現在は1kw時あたり28円と下がっています。
(来年は、1kw時あたり26円でここまでは決まっています。その後は未定)
この制度では、電力会社が作る電気よりコストの高い再生電力を買う義務が電力会社にありますが、
買取り費用は「賦課金」として全ての家庭や企業の使う電気代に上乗せして徴収されています。
この国民負担を抑える為に、買取り価格のの期間を10年の期間限定という条件が付いていたのです。
そして、この制度の期間切れがくる家庭が2019年で約53万件、2023年までに160万件に達すると言われます。
総発電量は約700万Kw 大型の原子力発電所7基分の電力と言われます。
10年の買取り制度が終わる中で、宙に浮いた電力をその後どうするか?
これをもって、「太陽光2019年問題」といわれています。
電力会社の買取り義務はなくなるので、
余った電気を無償で電力会社に提供せざるを得ない世帯が大量に発生する恐れがあり、
経済産業を中心に対策を協議中で、
新電力などが個人と契約を結び1kw時あたり10円以下で買い取る仕組みも噂されています。
資源が乏しい日本において、再生エネルギーの普及は日本の悲願でもあり、
買い手を失った家庭の不満が広まれば
再生エネルギー普及の逆風にもなりかねず、
国としてもその対応が注目されるところです。
考えられる具体的な選択肢は、3つになります。
①何もせずに無償で電力会社に渡す
②現状より5分の1程度で売電を続ける
③余った電力を蓄電池にため夜間に使ったり近隣で融通すたりする「電気の地産地消」を目指す
これまでの、余った電機を高額で売れば良いだけだった状況とは、大きく変わる可能性があります。
ここからは、私の個人的な意見です。
私には、5年後、10年後、30年後の日本のエネルギー問題の知見を述べるような知識はありませんが、
少なくとも脱原発の流れは止められないと思います。
その中で、大規模な自然災害は無いとしても原発の廃炉コストを含めて、
エネルギーコストが上がる事はあっても下がる事は無い様に思います。
かって、訪問販売を中心に太陽光でたくさん余剰電力を作り、電力会社に売って儲けようという論調がありました。
この売り方が太陽光の認知に貢献した事は認めますが、太陽光パネルによる売電は省エネの最終目標ではありません。
大事なのは、上昇基調が続く不安定なエネルギー事情に左右されない、
永続的な住宅のエネルギー消費の在り方を考える事と思います。
そのための考え方次のようになるかと思います。
*住宅の断熱性能を高め、住宅への気候変動等の外部の影響を極力抑える
*省エネ家電を使う事で、住宅の消費電力を抑える
こうして、住宅の消費電力を極力減らし、
*少なくて済む必要電力を、太陽光パネルなどで住宅でつくる
これが、住宅エネルギーの理想の形ではないでしょうか?
そうした中、太陽光2019年問題を私なりに検討すれば、
①の選択肢は、ボランティアで無い限りありえないと思います。
②の選択肢でありますが、これから上昇するであろう電気料の補助としては心もとないですが、
光熱費補助の観点から取敢えずはこれしかないかな?とも思います。
個人的には、社会的ニーズからみても
③の選択がベストとおもいます。
ただ、近隣で電気を融通しあうには社会インフラ・システム構築が必要であり、
もう少し時間がかかるかとおもいますが、2019年問題を機に大きく進展する事が期待できます。
社会インフラとしての電力会社の使命はこれからも不変でしょうが、
住宅における電力インフラは変わらざるを得ないと思います。
近隣で電気を融通しあう社会インフラ・システム構築にむけて、個人住宅向けの「蓄電池」は有望な市場と考えています。
蓄電池購入の補助金もあり、2019年問題を踏まえ、蓄電池の価格下降傾向が今年から更に進むと思われます。
一方、今年新築を考えているお客様の対応です。
現在の太陽光パネルの価格と、10年間の売電制度が維持される現状においては、
ZEH住宅で、断熱性能を高め 省エネ機器を使い 最小限の太陽光パネルの設置をして、
エネルギー消費をプラスマイナスゼロを目指すのが、
妥当な判断のような気がします。
只、余剰電力を売るだけでなく、「電気を貯めて 住宅に戻す」方式を今の時点で設置するかどうかは
悩む所です。
当社では、今年を「省エネ住宅元年」と捉えています。
社内・社外を問わず様々な所で、聞いたり・勉強したりしながら、
ベストマッチを模索しております。
これからも、宜しくい願い申し上げます!!