お金の貯まる家のつくり方
社長の小池です。
先日、業界紙に
「人生100年時代」心配はお金の事。老後を考えると「お金の貯まる家」を建てたいですね!
という大変刺激的な表現の記事が有りました。
今日は、その記事の内容を簡単にお話します。
1.ライフサイクルコスト(LCC)について
ある商品に対する生涯に使うお金を「ライフサイクルコスト」と呼びます。
人生の3大支出である住まいの費用は人生に大きく影響を与える支出であり、現在の家賃水準から「なんとなく」決めるのでなく、LCCの観点が不可欠です。
住まいの費用は、3つに分類されます。
①土地・建物の取得費(住宅ローン)
②メンテナンス費用
③光熱費
多くの人は、①のイニシャルコストに目が行きがちですが、長期固定金利型も含め大きなリスクにはなり難い費用です。
それより大事なのが、家を建てから発生する②③のランニングコストであり、金額が圧倒的に大きく、不確定であり、住まいによっては数百万の差がつく点にあります。
2.普通の家と高断熱住宅にかかる生涯費用の試算
(30歳で家を建てて85歳で亡くなると仮定)
①普通の家(次世代省エネ基準)
UA値:0.87W/(㎡・k)
年間光熱費:24.7万(オール電化)
項目 金額 割合
建築費: 1800万 (20%)
土地諸経費: 2500万 (27%)
住宅ローン金利: 558.1万 (6%)
メンテナンス費用: 1630万 (18%)
光熱費: 2593.9万 (29%)
LCC合計 9082万 (100%)
②高断熱住宅(HEAT20 G2水準)
UA値:0.48W/(㎡・k)
年間光熱費:20.9万(オール電化)
項目 金額 割合
建築費: 2000万 (23%)
土地諸経費: 2500万 (29%)
住宅ローン金利: 587.4万 (7%)
メンテナンス費用: 1430万 (16%)
光熱費: 2141.2万 (25%)
LCC合計 8658.6万 (100%)
3.人生で一番高い買い物は「光熱費」
上記の①普通の家(次世代省エネ基準)にかかる生涯費用から考えてみます。
建築費1800万+住宅ローン金利558万=2358万に対し、
メンテナンス費用は1630万
光熱費は2594万になります。
生涯に支払う光熱費のほうが、住宅建築費+住宅ローンより高額になる計算です。
エネルギーコストの上昇も大事です。
経済産業省の資料によれば、過去40年間で年率平均で2%上昇しており、今後更なる上昇の可能性もあります。
仮に2%で上昇したとして、今後の光熱費はこの様に計算されます。
現在 24万/年
10年後 約29万/年
30年後 約43万/年
50年後 約63万/年
働き盛りを終え、リタイア後の収入が下がるときに、この光熱費の上昇は大きな負担が予想されます。
この様な高額な光熱費は払えず、エアコンをつけるのも我慢する生活は、ヒートショックなどの健康リスクにも跳ね返ってきます。
4.光熱費は高断熱化で大きく下げられる
光熱費を抑えるには、冷暖房を使わずに暑さ・寒さを我慢するのは現実的ではありません。
一番いい方法は、住宅の断熱性能を高めることです。
断熱性能の違いは、①普通の家(次世代省エネ基準)と②高断熱住宅(HEAT20 G2水準)の光熱費を比較すると、450万の節約が可能となります。
断熱性能に加え、屋根や外壁などを長持ちする材料にすることも節約効果を高めます。
人生と言う長いスパンで考えると、断熱性能を高め、長持ちする材料で家を作ることが、最も効率の高い投資といえます。
建築費から見ると、②高断熱住宅(HEAT20 G2水準)の方が200万ふえますが、ランニングコストの削減によって築20年前後でライフサイクルコスト(LCC)が①普通の家を逆転し、その後は差が開いていきます。
5.「よい暮らし」には高い住宅性能が必要
高断熱住宅には、お金以外にもさまざまなメリットをもたらします。
それは、快適性です。
1年じゅう、家じゅうを適切な温度に保ちやすく、部屋ごとの温度差も抑えられます。
窓の性能が高いため、大きな窓にしても寒い家にはなりませんし、結露もしづらくなります。
日差しを遮る日射遮蔽部材を取り付けることで夏も涼しさを保ちやすくなります。
家の中が快適になる事で体調も崩れにくくなります。
住まいを手に入れることが人生のゴールではありません。
生涯そこに住むのですから、老後の光熱費を負担に感じるようではいけません。
暑さや寒さや、結露に悩まされるのも論外です。
高断熱住宅で長期のライフプラン、ライフサイクルコスト(LCC)を組み立てることで、
より良い暮らし、よりよい人生を過ごす事が可能になります。
という記事です。
私は、多くの示唆を含んだ優れた記事のように思います。
この記事に付け加えるなら、太陽光を含めた創エネ等の対策が重要に思います。
光熱費は、買うのでなく創って貯める発想です。
当社では、経済・エネルギーの動向やこれからの住宅のあり方を、常に考えた住宅作りを目指しています。
様々なご相談をお待ちしております。