新築時に必ず考えたい夏の暑さ対策
社長の小池です。
前回に引き続き、最近読んだ業界誌の気になる記事から考えてみました。
今年の夏は、7月の初旬に梅雨明けがあり大変暑い夏だったように思います。
しかし、9月に入り台風が多く発生し
一雨一度(ひとあめいちど)
という、一回の降雨ごとに気温が1度下がり秋が深まる言葉がよく当てはまる今年の秋です。
私たちはどうも忘れやすい動物のようで、今となれば7月8月の暑さはなんとなく遠い記憶になりつつあります。
とは言え、最近の気象状況は地球の温暖化の流れの中で、夏が益々暑くなる傾向にあるように皆さんは自覚されているのではないでしょうか?
夏の暑さの不快感の原因は何故?
快適な温熱環境の条件は、下記の2つが挙げられます。
①体全体から適度な放熱(=熱を逃がすこと)ができること
②局所の不快がないこと(上下温度差や室内表面温度差ムラなどがないこと)
具体的にいえば、家の中で体からの放熱量が足りない場合、天井が暑い場合に、暑さによる不快感を感じるという事になります。
体の熱バランスを確保
運動したり食事をしたりすると、体の内部に「代謝熱」が発生します。
これを体の表面から「放熱」することで、人間は熱のバランスをとっています。
代謝熱の量より放熱する量が少ないと、人は暑さを感じます。
夏は、外気の温度が高く湿度が高いので、自然に放出する事が難しい条件となり、暑さを感じる事になります。
夏において一番簡単な暑さ対策は、代謝熱を発生させない為に体をあまり動かさないことです。
熱帯で暮らしている人が、ゆったり動いて生活し内部の代謝熱をふやさないように過ごすのは、たいへん理屈にあった生活スタイルといえます。
更に、着衣の量を減らし自然風や扇風機で放射しやすくことで、放熱量を増やすことも有効となります。
局所不快を解消
局所の不快をもたらす要因には、下記の4点が挙げられます。
①気流感
②空気の上下の温度差
③床の表面温度
④室内表面温度(放射環境)の不均一
夏に限って言えば、暑い天井は不快の最大要因です。
何故なら、暑くなった天井から遠赤外線で頭が加熱されるからです。
この状態を解消しようと冷房で室内を冷やすと、冷たい空気が足元におり足元だけが涼しくなります。
しかし、頭は暑いままであり、上下温度差と室温表面温度差の不均質がダブルで不快な状況を作ります。
「頭寒足熱」という言葉が有りますが、全く逆な状況が生まれていると言えます。
毎日の生活の中でストレスを感じない住宅
これから住宅をお考えの方で、生活をする上で重要な事に「ストレスを感じない住宅」という点が有ります。
平面図でいえば生活導線であり、住宅性能からは言えば温熱環境が該当します。
温熱環境を整えるには、住宅の断熱性能が重要なポイントです。
空調設備の進歩で能力の高いエアコンも発売されていますが、断熱性能が悪いと強力な風で家中を冷やすことになります。
室内の気流感にたいするストレス、室内の温度差等は決して無くなることはありません。
又、低い温度を保つ為に常にエアコンを動かす必要があり省エネにはなりません。従って、光熱費が下がりません。
断熱対策
夏は日射時間が長く、昼間は高い位置から長時間屋根を照らすことになります。
部屋の温度を上げないためには、
屋根又は天井の断熱性能を強化
することが大事です。
(冬の寒さ対策にも当然有効です)
さらに、夏は早朝の朝日、夕方の西日が室内に深く入り込みます。
いったん部屋に入った熱は逃げにくいので、
部屋に熱が入らない対策
が重要です。
日差しの室内に侵入防止には、「庇」「ブラインド・カーテン」「すだれ」などが有効です。
さらに住宅の壁面において、熱の侵入・損失で一番影響があるのは開口=窓の
ガラス性能
です。
窓のガラスには、射熱タイプと断熱タイプが有ります。
設置条件・気候を考えて、この2者から選択する必要が有ります。
新築住宅をお考えの皆さん、住宅の断熱性能を真剣に考えてみませんか??
*新建新聞社「だん」を一部参照しました。