能登半島地震と木造住宅の耐震について
社長の小池です。
令和6年能登半島地震から20日が過ぎようとしています。
19日の北日本新聞に「氷見全域 水道復旧」の見出しが出ていました。住民の「たくさん洗濯ができる。少しずつ日常が戻ってきた」の声が紹介されていました。
一方で、能登地域はまだまだ見通しが立たない地域もあり、一日も早い復旧を願っています。
さて、今回の地震で木造住宅の耐震について関心が高まっています。木造住宅の構造の権威:佐藤実氏が、YouTubeに「構造塾2024#1 能登半島地震で倒壊」を20分程のビデオでアップされています。
私なりに下記に纏めてみましたが、合わせて是非視聴願いたいと思います。
新耐震基準とは?
建築基準法が制定された1950年に耐震基準(これを「旧耐震基準」と言われています)が出来ましたが、1981年にこの規定が見直されました。(この見直しをされた基準を「新耐震基準」といいます)
新耐震基準では、柱・梁にかかる横揺れの力が重視され、筋交い等の耐力壁の強化が生まれました。
更に、1995年の阪神淡路大震災で耐力壁のバランスや柱の上端・下端の引抜力の弱さが指摘され、2000年に「新耐震基準」の見直しが行われ耐力壁のバランス(4分割)と引抜力=N値計算が追加されました。
新耐震基準と言えば新しい気もしますが、43年前に制定されたものであり、見直しをしてからも23年が経過しています。(新という表現に疑問)
この23年間にも様々な地震があり、その間にアップデートされていなかった事は問題に思えます。
建築基準法の安全とは?
2000年以降耐震基準の見直しがなされなかった原因は、新耐震基準が建築基準法の安全要件を満たしているからと考えられます。
建築基準法では、震度7の地震がきても家屋が倒壊しないで命を守ることを想定しています。
但し、熊本地震のような震度7の地震が続けて発生する事は想定していません。(熊本では2回目の震度7の地震で、住宅が倒壊した例が数多く発生)
又、建築基準法の安全は命であり、一般の消費者が望む「住み続ける家」という事は考えていないという事は、はっきり認識する必要があります。
能登半島地震では「新耐震基準」の家も倒壊!
今回の震災では、「新耐震基準」の住宅も多くが倒壊したと言われています。
その原因は(まだ現地に入り検証は出来ませんが)、能登地区はここ数年地震多発地帯となっていて(昨年の5月にも震度6の地震発生しています)、今回の地震で突然倒壊したようにおもえますが、見た目に分からない今迄の地震のダメージが住宅に蓄積されていて、今回の地震でとどめを刺したように思えます。(新耐震基準の限界が明らかになる)
これらの経緯からわかる事!
建築基準法とは別に、2020年「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)が出来ました。
この法律では、下記の等級が定めらています。
耐震等級1 ⇒ 建築基準法と同等の耐震力
耐震等級2 ⇒ 建築基準法の1.25倍の強さ
耐震等級3 ⇒ 建築基準法の1.5倍の強さ
大きな地震が起きた時に、一般の方は「住み続けることが出来る家」をイメージしています。
その意味では、耐震等級1(=建築基準法)の耐震力では今回の地震に耐震力が足りません。
耐震等級3の構造が必要と思われます。
既存住宅の耐震改修は様々な障害も有りますが、新築住宅の建設において耐震等級3はチャンスであり、過去の経験を活かすタイミングと言えます。
是非、耐震等級3の住宅を検討してください。
以上が、佐藤実氏のYouTubeの概要です。
当社は、長期優良住宅を基本スペックとしていますが、耐震等級3が標準となっています。
今回の地震を経験して、やはり長期優良住宅の家づくりが間違っていなかったと再認識した次第です。