吉田兼好と最新住宅事情
2015.10.17
社長の小池です。
当社のホームページ、富山情報、家作りナビ、はっぴーママ等でご案内をしてますが、本年度から、本格的に住宅会社の社長という立場でなく、住宅産業に関わる人間としての立場で、月に1〜2回 セミナー&勉強を実施しています。
(ハウスラボニュースやブログでも、セミナー&勉強会の様子をご案内しています。)
そこで今日は、会場でお話しをする事の、ほんの一部をブログでご紹介してみたいと思います。
(1)住宅の社会性
現代の日本の住宅は、価値観が大きく変わる転換点にいるという事を 良くお話しします。
その辺りからお話を進めたいと思います。
私たちの社会生活は、社会環境に大きく影響されています。技術の進歩に伴って、様相が変わるという事も出来ます。
例えば電話ですが、私の子供の頃には電話(黒電話)は一家に一台なんて無い時代でした。私の家が商売をしていたので比較的早い時期から電話があり、我が家の電話が地域の電話でした。
〇〇さんから、「お隣の××さんに連絡した事があるので繋いで欲しい」との電話がれば、子供の私がお隣に行き「〇〇さんから電話が掛かってますよ!」と伝え、お隣の××さんが、「いつもすみません」と言って我が家で電話で〇〇さんとお話をする。
個人情報なんてものは全く問題にされない、おおらかな時代でした。
〇〇さんから、「お隣の××さんに連絡した事があるので繋いで欲しい」との電話がれば、子供の私がお隣に行き「〇〇さんから電話が掛かってますよ!」と伝え、お隣の××さんが、「いつもすみません」と言って我が家で電話で〇〇さんとお話をする。
個人情報なんてものは全く問題にされない、おおらかな時代でした。
その後の通信技術の進歩は、目を見張るものはあり、今ではスマートフォンでLINEの時代です。
上記の逸話は50年ほど前の出来事ですが、家作りにおいては、通信手段を黒電話をベースに考える事は出来ません。通信手段一つをもってしても、社会環境に大きく影響され、
家作りのも反映しています。
(2)吉田兼好が、日本の家作りのあり方を示す

では、日本の住宅はどのような考えから出来上がってきたのでしょうか?
よく言われる事に、吉田兼好(1283年出生れ。700年以上も前に生まれた歌人・随筆家)が書いた「徒然草」第五十五段が日本の住宅を決めたとも言われます。
「家の作りようは、夏をむねとすべし。冬は、いかなるところにも住まろ。暑き比わろき住居は、堪え難きなり。」ということで、家作りは夏を基本にと書かれています。
「家の作りようは、夏をむねとすべし。冬は、いかなるところにも住まろ。暑き比わろき住居は、堪え難きなり。」ということで、家作りは夏を基本にと書かれています。
日本は1年中同じような気候が続く南国などと違い、はっきりとした四季があります。
この四季は日本独自の豊かな繊細な文化を育んだと思いますが、一方で、住宅においては大変厳しい条件が突き付けられた事になります。
比較的過ごしやすい春や秋は良いのですが、気候の厳しい夏や冬に対する備えが日常生活で大変重要でした。そこで吉田兼好は、冬は着込んだり暖をとる事で何とか過ごせるが、夏の暑さは何ともしがたく、従って 夏対策の住宅を建てなければならないと、日本の住宅の有り様を説いた訳です。
そして、 日本の家作りは地域性はあるものの、 吉田兼好の影響を強く受けながら、太平洋側・日本側・南北を問わず 夏対策をベースに家作りが行われてきました。
当然ながら電気やガス、石油がない時代、断熱や省エネなど考える必要のない時代においては、大変理にかなった事でもありました。
(3)現在の住宅で、何がおきているか?
私が、この業界に入った頃には、まだエアコンも高級品であり 断熱という発想はなかったように記憶しています。
治安が良く家の鍵をかける必要もない時代でしたので、「家は夏を旨とする」考えから窓を開け放ち、風を通す事だけを考えたものです。冬の暖は、炭から灯油に変わりつつありましたが、隙間風が吹く家で服を着込んでコタツは必需品でした。
吉田兼好が唱えた住宅は、吉田兼好が生まれて700年経った私の子供時代においても日本のスタンダードだったようです。
そうした中、住宅の断熱に対する考えが徐々に広まり、壁に断熱材を入れる、木製の窓からサッシに変える、ガラスもペアガラスに変わり、国が定める断熱基準も進化し、制度や技術面にも断熱性能・省エネ性能は格段に向上してきました。
吉田兼好の時代では考えられない技術革新が、住宅業界で進みつつあります。
しかしながら、ショックなデータがあります。
交通事故と家庭内の不慮の事故による死亡者の推移です。
1996年では、交通事故死亡者は14千人・家庭内の不慮事故死亡者が10.5千人であったのが、2013年には交通事故死亡者が5千人弱・家庭内の不慮事故死亡者が14千人に、逆転しています。
1996年では、交通事故死亡者は14千人・家庭内の不慮事故死亡者が10.5千人であったのが、2013年には交通事故死亡者が5千人弱・家庭内の不慮事故死亡者が14千人に、逆転しています。
更に、死亡事故の月別をみてみると、夏より冬の方が圧倒的に多い事がわかります。
原因は単純では無いでしょうが、溺死及び溺水などに限らず、室内の温度環境が大きく起因していると考えられます。
夏場はエアコンが完備した住環境が大きく改善したのに対し、寒さを我慢する住環境がこのような季節の死亡事故のアンバランスを生んでいるようです。
吉田兼好がいう「夏を旨とする家」は時代遅れであり、「冬を旨とする家」をもっと考える必要があると思えます。
又、断熱性能については地域性も考える必要があります。
高齢者の浴室内での死亡率をみると、北では北海道や青森、南では沖縄や宮崎が低い傾向にあります。
一方で、死亡率が高いのが富山・福井などの北陸、中部、関東があげられます。
寒さが厳しい北海道や青森は断熱に対する取り組みが進んでおり、一年中暖かい沖縄や宮崎は温度差に対する取り組みがそれほど必要でなく、寒さや暖かさが中途半端な地域こそが、最も断熱性とともに室温(寒暖)対策が必要であるという事がお分かりになるかと思います。
(4)住宅の断熱性能を知る
このような状況の中で、先のも述べましたが、国の制度や技術も変わってきました。
但し、今までは断熱性能と言えば、使う単体(商品)の性能の善し悪しで語られてきました。
例えば断熱材の種類や厚み、サッシであれば単層ガラスかペアガラスの良し悪し、アルミサッシか樹脂サッシか という事です。
しかし、これからはこのような単体の単品の性能で判断するのでなく、上記のような部材の使って家一軒全体の断熱性能を数値化する時代になりました。
この断熱性能を表す数値のことを UA値と言います。
ざっくりと言えば、家全体の外部に面する壁から、どれだけの熱が失われるか数値で表そうという事です。
単体 例えばどんなに優れた高いサッシを付けても、壁や天井や床の断熱性能が悪いと、どんどん熱が逃げていくので高いサッシが無駄になる可能性があるという事です。
大変難しいブログになったも知れませんが、
これからの住宅は断熱性能を抜きには語れません。
これからの住宅は断熱性能を抜きには語れません。
又、断熱性能の良い家は、健康・快適性・省エネ・光熱費にもとても優しい住宅です。
これから住宅を検討なさる方は、どうぞ一度当社にご相談ください。
(記:小池英樹)
家づくりについてのご質問はお気軽に!