「水害ハザードマップ」と土地売買契約
社長の小池です。
前回の、社長ブログでふれた
「天災は、忘れたころにやっれくる」
に関連したブログ第2弾です。
毎年のように日本各地で起きている豪雨災害ですが、
山間部においては地滑りを引き起こし、
河川の周辺で水が溜まりやすい地域では家屋浸水などの水害をもたらします。
2018年7月の西日本豪雨では、死者224名、行方不明8名という大災害になりました。
2019年9月の台風15号では、床上浸水127棟、床下浸水118棟
続いて10月の台風19号では、床上浸水8,129棟、床下浸水22,892棟という被害となりました。
この台風19号では、神奈川県川崎市のJR武蔵小杉駅周辺のタワーマンションで、
エントランスから流れ込んだ水が地下の電気系統をこわして、
エレベーターが動かなくなる被害をもたらしました。
時代の最先端を行くタワーマンションの被災であり、大きな話題となりました。
その後、武蔵小杉駅周辺のなかでも被災したタワーマンションが立地している場所は、
多摩川が氾濫したときに浸水継続期間が4週間に及ぶ可能性のあるとの記載がハザードマップにあったことが判明し、
その有効性が改めて認識されました。
水害に限らず様々な災害を想定したハザードマップは、
1990年代から各自治体で作られてきました。
不動産取引をする際に、ハザードマップに基づいたリスクを説明することは、
義務付けされていなかったため対応はまばらであったようです。
しかし、昨今の大規模な災害は頻発する事態になり、
台風による水害リスクが高まる事が予想され、
不動産取引において水害リスクにかかる情報が、
契約を結ぶうえで重要な要素となってきました。
そこで、宅地建物取引業法施行規則の一部が改正され、
2020年8月28日からは、
「不動産取引に際しての重要事項説明として、
水害ハザードマップを用いることににより、
水害リスクに関する説明を不動産契約締結前までに行わなければならない」
という事が定められました。
水害リスクとは、
①洪水 ②内水 ③高潮 の3つが対象となっています。
①洪水 とは、主に河川の氾濫を想定しています。
②内水 とは、防堤の内側で発生した氾濫の事で、市街地を流れる側溝や排水路、下水道から水が溢れる水害を指します。
③高潮 とは、台風や発達した低気圧が海岸部を通過する際に向岸風によって生じる海面の上昇を指します。
ハザードマップは自治体のホームページや印刷物で誰でも見られるようになっていますが、
最新のハザードマップ情報については、
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)」
からもリンクが貼られています。
豪雨災害が多発する昨今ですが、
法整備が現実に対応してきた事例と思われます。
住宅を検討するには、
先ずは土地の選定が大事な要素です。
不動産取引に際しての重要事項説明は当然ながら、
宅地の検討にハザードマップの利用もお薦めしたいと思います。
(REAL PATNER September 2020から一部引用)